－弦楽器のコツ！ブランク克服編－

　仕事も落ち着いて再び楽器がやってみたくなった方、子育てが一段落した方、勉強のために一時的にやめていた方、ブランクのある方は大小に関わらず多種多様であると思います。しかし、どの方も心のどこかに共通して「今一歩踏み出せない」、「再びやり始めてみたものの昔のように吹けずもどかしさを感じる」という感情があるようです。個人差はありますが、初心者同然になっている方もしばしばで、こういうときはやはり落ち着いて一つ一つ覚えなおしていくしか方法がありません。楽器を一からやり直すということは、実は間違って覚えていたものをやり直す機会でもあるので前向きに考えていきましょう。
　弓使いについてはわかっている方が多いみたいですので、ここでは弱っている筋肉、力を抜かなければならない筋肉について注目してみます。弓使いを忘れてしまった場合は初心者編を参考にしてください。

■　気持ちとイメージが大切

　社会人になると思うように練習時間はとれない方が多数ですが、その上ブランクがあるとなれば、やはり気持ちは沈んでしまいがちになります。最近はやりのお稽古事ストレスもそのひとつです。それを克服するには、気持ちをしっかりと持つことしかありません。具体的には「現実を受入れる素直な気持ちを持つこと」、「こつこつと積み重ねていく根気」、「楽器を吹いたときにどこをどうすればよいのかできる限りイメージすること」、「練習時間をカバーするイメージトレーニング」などが考えられます。
　社会人バスケットやバレーボールのサークルでもそれが好きな人ほど、練習時間はなくとも家に一人でいるとき何ができるか考えるものです。ある人はボールを磨いているかもしれない、ある人は試合で勝つために立ち位置や作戦を考えているかもしれない。けっこう楽器を吹いていないときでもできることはあるはずです。

■　本体の支え

　久しぶりに弾いてみると、どうしても力が入らない部分がバイオリン・ビオラをはさむ顎、支える腕です。持ち上げるタイプの弦楽器はとにかく姿勢が重要で、本体を常に一定に構えていなければ、すぐに音の崩れる原因となります。チェロ、コントラバスについては楽器を床に置いているので、弓を引き抜く力は多少強くなければなりませんが、この点はあまり不便を感じないようです。とりあえず、バイオリン、ビオラを中心に考えていきましょう。①顎についてですが、これはなかなか鍛える機会はありませんので、久しぶりだと１０分も楽器を弾いていると疲れてきます。と２０年前まではそんな感じでしたが、最近ではアマチュアでも肩当が普及して、これを使用しないバイオリン弾きはいないというくらいですので、これは必ず購入して使用してみましょう。②支える側の腕については、これは弾くための正しい姿勢に関わってきますので非常に重要な部分です。バイオリンの位置がその都度ずれると弓を持つ手のほうがなかなかついていきません。姿勢を維持するように心がけて、弓に注意できるような状態を作りましょう。疲れて姿勢が崩れてきたらやめて、休んでからまた練習することも大切です。

■　弓を持つ右腕

　弦楽器は管楽器と違って全体的に力が入らないほうが上手くなりますが、特に難しい部分は弓を扱う右腕です。常に脱力とはいいながら、①右肩間接、②右腕肘関節、③右手間接は脱力しなければなりませんが④右上腕筋、⑤右手指先は弓を持ち上げる力を維持しなくてはなりません。しかもこれらは同時進行で覚えていかなくてはならないので、すべての楽器の中でもっとも難しい技術の一つでもあります。わかりやすく表現することは困難ですが、ここでは「弓を一定の高さに持ちながら、３つの間接は柔らかくすべし」としか言いようがありません。覚えやすい方法があったら、また更新していきます。

■　音楽団体の事情

　オーケストラを再びやってみたいブランクのある経験者も少なくありませんが、おわかりとは思いますがオーケストラでの弦楽器はとにかく足りません。どこもよろこんで受入れてくれるでしょう。とくにビオラ、チェロは人口が少ないので重宝されるようです。初心者やブランクのある経験者は敬遠される団体もありますが、管楽器ほどではないようです。

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